アルペンローゼは、スイスの夏、アルプスの岩肌に咲く赤い小さな花です。
登山列車の車中から見たその花の姿は急な斜面を這うように、しっかり根をおろし、可憐でとてもけなげでした。
私達もこの花のように奈良の地にしっかり根をおろし、いつまでもおいしいパンを焼き続けていきたいと思います。
「アルペンローゼ」は商標登録済です。
ごあいさつ
20数年前、私達がパン屋さんとして働いて行こうと決心した時、子供達はまだ中学生、小学生、保育園児でした。奈良の地で、まわりに既存のパン屋さんが沢山ある中で、なんとか生計を立ててやって行くには、子供達の成長の糧となるような安全な材料を使って、ごはんのかわりになる様なパンを作りたいと思いました。毎日食べて頂きたいから、シンプルで飽きのこない、ほっと心がやさしくなる様なパン。そんなパンを作りたいと、ひたすら毎日働いて来ました。
私達が20年前にあこがれていたのは、無添加の材料を使い天然酵母100%のパンを薪を燃やして石窯で焼き上げること。しかしアルペンローゼの創業当時は、パンはイースト100%で作るのが当たり前で天然酵母という存在もプロのパン屋さんでさえ詳しく知る人がない時代でした。
創業から13年経った頃、私達はアルペンローゼのパンをすべて天然酵母で焼き上げることが出来る様になりました。しかしイーストより発酵力の弱い天然酵母100%でパン作りをすることは、季節によって、その型や大きさにバラつきの出ることもありました。そのことをお客様にどうお伝えしたらわかって頂けるだろう・・・と挫けそうな時が何度もありました。一口に天然酵母100%といっても何十種類ものパンを無添加で作るのは途方もなくむずかしい事でした。
そんな時、いつも私達を支えてくれたのは、黙々と仕事に打ち込むスタッフのひたむきな姿と、お客様からの励ましの声です。私達はこの20年一生懸命パン作り、料理作る中で、一番幸せなことは、本物を作る方々との出会いでした。私達の考えと志を同じくする農家の方々生産者の方々との出会いから多くの気付きと学びをいただきました。
人間もこの地球上で生きる一つの命、その生命を守るのは、自然のエネルギーいっぱいの食べものです。
化学肥料を使わず、農薬は最小限。有機栽培の農家の方達の苦労はまさにアルペンローゼも同じです。
アルペンローゼを奈良の地に生み出し育てる間、私達はひたすら汗を流し愚直にパン作りに向き合って来ました。その間に子供達はそれぞれの道を歩く社会人となりました。
20年前に「お母さん!魔女の宅急便の中に出てくるグーチョキパン店のようなお店にして!!」と言ってくれた長女も一児の母となり、まもなく2人目の赤ちゃん誕生です。
生まれて来る赤ちゃんに安心して食べさせられるパン、人生の終盤を迎えた方にもぜひ召し上がって頂きたいパン、体にやさしくて心にあたたかい、愛のいっぱい詰まったパン。
アルペンローゼのパンはよく噛みしめて食べてみると、そのことがわかっていただけるパンです。
どうか気長にお付き合い下さい。
アルペンローゼ代表 坂本 輝雄・美幸